2012年11月19日月曜日

落ち葉師 熊谷浩太郎の「落葉樹のメタファー」


完全にほっぽり投げていたブログですが、今回行った個展のことをメモっておく意味で書きとめておこうと思います。

井の頭公園から1,2,3歩!でおなじみの人気カルチャースポット「キチジョウジギャラリー」http://kichijojigallery.comにて開催させて頂いた個展、「落葉樹のメタファー」。気まぐれな落書きからスピンオフした企画でしたが「作品の販売はしていないのか」等の好評を賜り、結局展示作品の半数以上を、気に入って下さった方々にお譲りしました。「落ち葉師」っていう自前の肩書もよかったみたい。メルスィー。

記録と記憶に留めておくために、作品の幾つかをご紹介します。今回原画を観に来れなかった皆さんはこちらを見て地団駄踏んでちょ。





輪廻 (大きな魚)



輪廻 (百足)



黄金虫



 







連作  「春夏秋冬」  


 


 
 



 
 
 
 
 
 
果実
 
 
 
輪廻 (魚)
 
 
一心不乱
 
 
 
 
技巧や自己主張を極力排してただ素材の美しさを賛美するだけ。葉を拾う時、着想、制作する時、どれくらい己を消せるかに専念する。それは厳しくも至福の時間でした。
きっと本業の歌や踊りにその鍛錬の成果が出ると思います。                                                                   
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

2011年7月7日木曜日

七夕イヴ 節電の夜

六本木ヒルズ ヒルサイドから毛利庭園を

東京タワーと夜の空











  節電モード          

猫は暗くても平気。

2011年6月18日土曜日

振袖火事

テン テンテテン

テンツクテンツク テンテン

チリチリテンツク  チントンシャン


語り草

どこにでもいる女だった

どこにでもいる悲しい女さ



承応4年(1654年) 1月16日 若い娘が死んだ

麻布の質屋 遠州屋の娘  梅野

胸を患って長いこと床に臥していたらしい
棺は本郷丸山の本妙寺に納められた 
その時一緒に 一着の振袖が納められた
どうやら娘が 梅野が後生大事にしていた振袖らしい


チンチリチントンシャン

後生大事なモノだろうが いなくなった人間の遺品なら それを売り払える役得が
寺の坊主たちにはある
まっとうな神経の人間ならいい気はしねぇがな

まあとにかく売り払われたんだ その振袖は


この江戸にあって最も多く店を連ねているのは「古着屋」だ
町方のもんは新品をあつらえることはめったになく 古着屋で古着を買うのがふつう
だから古着は天下のまわりもの

売り払われた振袖は めぐりめぐって‥

へへっ

本妙寺に戻ってきた またも‘遺品‘として


ちりーん

明暦2年 1月16日 今度の持ち主は紙問屋大松屋の娘 おきの
棺にかぶせられてきたのは まがうことなくあの振袖だった

まあまたその振袖を売り払う坊主の強欲も驚きだがね 驚きじゃすまされないのは
三度目があったからさぁ

あくる明暦3年 1月16日 今度は本郷の蕎麦屋の娘 おいくの葬儀に
みたびあの振袖が納められた

さてもさても
話が怪談じみてきてさすがの強欲坊主たちも 供養の施餓鬼を催したわけだが‥

おいら的に最も妙だったのは その振袖
おいらが好んで着てた 腰替わり振袖ののしめとそっくりな模様だったこと

ちりーん‥

まあ‥とにかく供養が行われた
ところが だ


べべべんべべべん べん

大施餓鬼の炎に投げ込まれた振袖は 烈風に煽られ 火の粉をまといながら本堂へ飛んだ
本堂は一気に燃え上がる 乾ききった冬の風に炎は勢いを増し 南 東南へ流れた
火は湯島 神田旅籠町 鎌倉町 浅草門真近までつぎつぎに舐めた
二日たって火はいったん消し止められたかに見えた
が あけて19日小さなおき火は再び 小石川新鷹匠町から出火
いよいよ江戸城の北側を回り内堀へ進入 立ち並ぶ大名屋敷まで焼いた焼いた


きりがねぇな‥ とにかくまあ 天守閣まで焼失させた これが世に言う 明暦大火
人呼んで「振袖火事」


テテテン テン テン チントン シャン


‥あの娘  

梅野
逢ったんだ  一度だけ  本郷丸山本妙寺でな

おいらに惚れたって言うんだ 
寝ても覚めても忘れられず
おいらが着てたのしめの柄そっくりの振袖をあつらえるほどに

どうかしてる 恋で胸を患うなんてよ
まして大棚の娘さんがよ
寺小姓のおいらに

おいら抱いたんだ  目でな
すれ違いざまの 枯れた冬のにおいにまぢった 優しい娘の香りがした

あんな香りがしたことが  あんな目でお前を見つめたことが
お上に知れたら一大事だぜ
なんせ江戸中を火の海にしちまったんだ
二人揃って死罪たって 何回死ねばすむってんだ


吹いただけで紅くなる  囲炉裏の火種な恋なのに
世界を炎に投げてもと  言ったおいらの負けだから

出逢いと別れの輪廻の上で  恋のおき火もそのままに
おいらの名前も知らないだろが
ゆきすれ違えばわかるはず

生まれ変わったら逢いにいくよ

あの振袖を目印に


チリチリチンチリテンツクツン テンツクテンテン チントンシャン

チリチリテンツク チン トン  シャン‥







はっ‥! (◎_◎;)

夢か‥(ー_ー;)


チャン